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旅の日記

2009/5/9

旅の日記
今日から旅の記録を付けることにした。

あまり乗り気ではないけれど、久しぶりに会ったアイツにこのモバイルを使ってと頼まれたから、
あまり良い気分ではなかったけれど、アイツとももう会うこともないだろうから、
あまり振り返りたくはないが、アイツにした事と向き合わないといけないから、
すこし寂しかったけれど、アイツのことを忘れないために。

私の名前はフィオナ・ローエングラム。
国をなくした私は、今日も、旅をしている。

節足動物に襲われて

2009/5/10

節足動物に襲われて

誰でも「これだけは嫌」というものがあると思う。
生乾きの服、さめたピザ、歯磨きした直後の温かいミルク、
そして節足動物に食べられる、ということ。

ヒノキ平原を南下中、腹を空かせたオオミハギに目をつけられる。
カキツバタが全力疾走してくれたおかげで危機を脱するも、一歩間違えれば彼女のディナーとなるところだった。
もしオオミハギなどに食べられるようなことがあれば、ローエングラム家の恥だけでなく、
哺乳類、ひいては脊椎動物全体の恥になるところだ。
食べられるなら、節足動物ではなく、脊椎動物に食べられたいものだ。

…嘘ついた。誰にも食べられたくないよう(´・ω・`)

今日はこのままここで野営をし、早めに寝て明日に備えよう。
もう少し南に大きなガザミが捕れる場所があると聞いたので、明日は早朝から出立し、節足動物に復讐を果たそうと思う。
というわけで明日は早起きだ。節足動物は食べられるより、食べるに限る。

ヒヒを食べる

2009/5/11

ヒヒを食べる

今日のお昼は草原で見つけた“とれたて”のヒヒ肉。
香草といっしょにホイルで焼いたものにソイソースを垂らして美味しくいただく。
少し筋張っていて独特の臭みはあるが、それも香草とソイソースの香りに包まれると
良質な個性となって私の頬をゆるめる。

(*´ v `*) 

さてこれからどうしようか…
5月中にはヒノキ平原をぬけたいところだが、少し西よりに歩いて、ヤマト遺跡も見てみたい。

ヒヒ美味い。

暖かくなって、餌となる草が増えたおかげでカキツバタも元気だ。
余力もあることだし、寄り道しようか?
どうカキツバタ?

……ああ、草に夢中か。
そろそろ誰が主人か思い出させてやらんとな…
まぁ竜は食いだめできるんだから、
今のうちにしこたま竜胆を太らせておいてほしいがー…

……やっぱり生意気だな。

昔はあんなに小さくて可愛かったのに、今やもう、ぷっくぷくじゃないの。
ほんとに立派な重戦車になったものだよ。

あ、こっちむいた。
あ、また草食べ始めた。

まったく……
かわいいなぁ(*´Д`*)

ヤマト遺跡

2009/5/12

ヤマト遺跡

写真に写っているのはヤマト遺跡とガザミドリ
好んで自ら捕った蟹の爪をつける変わった鳥だ。
ぱっと見は真っ赤で派手な外見だが、爪を外すとずんぐりしたくちばしに真っ黒な顔と意外に地味。

残念ながら晴れてしまったので、泣く泣くヤマトの遺跡に行くことに決定(*゚∀゚ )ノ
嬉々として準備をしているとカキツバタが恨めしそうにこちらをみるのがイヤ。…イヤ。

シンの国で聞いた話によると、
ヤマトの遺跡は1000年以上前、第5次氷河期より前にあったものだという。
優れた文明に、にぎわう人々。豊かで活気のある国があったという。

とは言え氷河期前、さらに大戦前のものならば、その言い伝えは眉唾物だ。
ありがたい偶像だと思われていたものが、遺跡から見つかった文献…もといパンフレットから、
お菓子会社のマスコットだと判明したなどという逸話はよく聞く話。
鵜呑みにしないのが賢明だと思う。

ヤマトの遺跡も太古の昔は、鉄の馬が走り、鉛の鳥が空を飛んでいたという。
…いくら何でもばかげた話だ……

自動車と飛行機なら分かるけどさ。

遺跡を探索

2009/5/13

遺跡を探索
ヤマト遺跡に到着。
街の中は鉄筋の建物の群れとは対照的に、生命が溢れており、自然が国を飲み込もうとしていている。
死んだ国特有の独特の寂しさと、土に帰っていく文化の断末魔が胸に響く。

ざっくり言うと、廃墟が好きだ。

不思議な雰囲気がただよっていて、
地球最後の1人と1匹になったような気分でテンションがあがる。

世界の人々は死に絶え、最後に残った人類がこの私1人…
もうこの世界には、親も兄弟も、友達さえもいないのだ…

……うん。友達は今もいないけど。

遺跡が崩れないかと心配ではあるけど、雨露がしのげるので建物内に泊まることにする。
遺跡の中の案内板に『25階 飲食店街』と表記されているが、ぐっとこらえる。
足場が崩れたら元も子もないし、だいたい食べ物なんてないだろうし。

デパ地下と言う表記になぜか心躍る。
そこはかとなく美味しそうな雰囲気だ。

イチコロセ

2009/05/14

イチコロセ

ヤマト遺跡を探索中に、えらいものを発見した。

ヒノキの猛獣イチコロセ
大きなものでは体長50m以上にまで成長する“凶竜”
…いや空を生活の基準とするアレは“龍”の部類に入るのだろう。

もともとは有肺類の陸貝だったものが、龍胆を獲得し龍類に進化したのが彼らである。
背中についていた貝殻は今では退化してしまい、
イチコロセの体を包む鱗の中の一枚になってしまったという。
しかしその鱗にたった一枚だけ混じっている貝殻は大変美しく、貝殻鱗とよばれて高値で取引される。

また悪食の彼らは動いている物なら何でも食べ、キャラバン一つを丸飲みにしたという逸話も聞く。
そのためヒノキ平原を横断する人々の中に、イチコロセの餌食になる者は後を絶たない。

そのイチコロセが、私たちの頭上を飛んでいたので慌てて隠れることに。
今のところ空腹を示す後触覚が伸びていないので、襲われることはないはずだ。
イチコロセ特有の大きく派手な後触覚は私たちに危険を教えてくれる。
ヤマト遺跡には巨大なヒマゼミの幼虫が多くいるのでそれを食べているのであろう。

しばらくは安心か?


その昔ある男が死にかけのイチコロセを見つけ、
その体から貝殻鱗を捕ろうとしたところ、
息も絶え絶えだったイチコロセが突如暴れ出し、
その男を飲み込んでしまったという。

そこから、目上の者を怒らせると言う意味の
『激鱗に触れる』という言葉が産まれたとか。

嘘か真か知らないが、とりあえず彼の激鱗には触れませんように。
…あ、いや、高値で取引できるのなら…

……いや、私はやっぱり命が惜しいかな (´・ん・`)

旅の商人

2009/05/15

旅の商人
セイ=アズサさんセイ=キロクさんと出会う。

昼食中、捕りたての節足動物……ヒマゼミの幼虫を食べていたところを彼らに見られ、
ドン引きされたのが出会い。
…クルミみたいで美味しいのに…

彼らは先月結婚したばかりの、新婚さんだそうだ。
私たちと同じようにヒノキ平原横断中、ヤマトの遺跡を散策に来たらしい。
以下、私たちの会話。

( ゚ Д゚ )「新婚ばりばりなのに私もお供しちゃっていいんですか?」

( ` ▽´)「いいよ、いいよー。新婚って言ってもキロクとは小さい頃からずっと一緒にいるからねー」

( ゚ Д゚ )「幼なじみですか!?」

( ` ▽´)「うんにゃ。姉弟」

( *- Д -*)「きょっっっ!?」

(;@Д@)「誤解だ!! 俺たちの家は孤…」

( ` ▽´)「禁断の愛なの」

(*- Д -*)「きんっっっっっっっ!?」

好きにして~ ( @Д@ )


調味料を分けてもらったので、とりあえず死ぬことはなさそう。
もう少し、遺跡を探索したいと思う。

みんなでディナー

2009/05/16

みんなでディナー
今晩は3人と2匹でディナーを食べた。
どうしても食べるなら哺乳類か鳥類がいいと2人に懇願されるも、
節足動物…ヒマゼミの幼虫しか捕れなかったので、
いい大人3人が蝉を囲んで貪るというおぞましい画に。
贅沢は敵だ。蝉は友達。

おそるおそる食べるキロクさんと、がつがつ平らげるアズサさん。
意外に気に入ったみたい。

で。ただいま、アズサさんにモバイルのいじり方と、日記の作り方を教えながら更新中。

( ` ▽´)「よくこんなので日記つけようと思うね。ペンで書けばいいのに。」

( ` Д´)「否!! モバイルにはモバイルの良さがあるんです!! ……カッコイイとかさ…」

(;@Д@)「見た目じゃん…」

見た目です!!

はい。写真はこの丸いのが自動で撮ってくれてますよ。
ではアズサさんが打ってみて。

がつがつたべてない、

ああ…一人じゃないことの幸せ…

サクラサク

2009/05/17

それは突然のことだった。

サクラサク

ヤマトの遺跡にはえる一本の巨木。
ヤマトシンノウザクラが開花したのだ。

それは一晩の内に満開となり、三日の内に咲き散り終わるという、豪気なサクラ。

ここを訪れたのが開花時期のかなり後だったので、
見ることはないとあきらめていたのだが、
大樹は私たちを待っていてくれたようだ。

花びらの吹雪の中、3人と2匹で天を仰ぐ。

その中でキロクが言った。

「すこし時期には遅かったから期待してなかったけど、僕たちはなんてついているんだろう…」

次いで私が答えた。

「2人に会えたのもそうだけど、こんな光景にも出会えるなんて偶然って凄い…」

そしてアズサさんが笑顔で言った

「何言ってんの、偶然なんてこの世にはないさ。あるのは奇跡だけだよ。」

それ同じ意味ですよ。と私が言うとアズサさんは、そうだっけ?ととぼけて見せた。

「サクラよりも何よりも、あんた達とここで出会えたことが、私には1番の奇跡だよ。」

アズサさんのくさいセリフにあてられて、なぜか私1人が照れていた……まったく。

…でもきっとこの光景を一生忘れることはないだろう。
しっかりとこの目に焼き付けたから。

ヤマトの巨大なサクラと、大好きな友の顔を。

ヤマト遺跡を後に

2009/05/19

ヤマト遺跡を後に

まだ満開に見えるサクラも、今日中には全部散ってしまうのだという。
本当なら昨日ヤマトの遺跡を出立する予定だったのだが、アズサさんの「廃墟で花見ではじけたい!! 」の一言で昨日は大宴会に。

( ´゚ Д゚ )「私食べ物は質素な携帯食しかないですよ?」

( ` ▽´)「いーよいーよ、食べ物なら私達がおごっちゃるから!! 」

( @Д@)「そんなに食べ物あったけ?」

( ` ▽´)「なーに大丈夫!!足りなかったら商品に手をつけりゃいいんだから!! 」

(;@皿@)「なっ!?」

( ゚ v ゚ )「そですね。ヒマゼミの幼虫ならいくらでも捕れますし。」

( T皿T)「……じゃ、準備しよか……」

花見の準備の最中に、キロクがぼそっと私に呟いた。

「ヤマトのサクラをパートナーと一緒に見ると、生涯共にいられるっていう言い伝えがあるんだ。ほんとに僕はついてるよ。」

にやけながら、いかにも幸せですという顔で私にのろける。

少し妬ましかったけど、それ以上に彼のはにかんだ顔が嬉しかった。
国を出てからだいぶ経つが、こんなに楽しい夜は初めてだった。
そして、こんなに切なく、こんなに温かな気持ちに包まれたのも生まれて初めてだった。

カエル(*´Д`*)(*´Д`*)

2009/05/21

カエル(*´Д`*)(*´Д`*)

あのにぎやかなヤマトの遺跡を後にして2日。
見えるのは岩山ばかりになってきた。
ほとんど動植物がいなく、狩りができないので食料の配分に気をつけて進んでいる。

写真は生き物の少ない山で見つけた、キノヒトノサマガエル
アズサさんもカエル好きと知って、テンションにまかせて撮った一枚。
※撮影後、カエルはスタッフ全員で頂きました。

もう2~3日で山岳地を抜けると商業都市グワの街につく。
アズサさん達はグワで商品を捌いたら、国に戻るそうだ。
そしたら2人ともお別れか…と思っていると

( ` ▽´)「やいフィオナ!、住む国探してるならうちの家に住め!!」

(* ゚ Д゚ *)「!! ややっ! でもそこまでお世話になるのも…!! 」

( @Д@)「まぁ、平気だぞ。俺らの家、孤児院まがいのことやってる変わったところだから、 今更1人と1匹増えたところで誰も文句はいわんよ。むしろ働き手増えて嬉しいぐらいだ」

(´・ω・`)「……」

( ` ▽´)「んだよ泣くなよー!!」

(´・ω・`)「いえ。禁断の愛じゃなかったのがちょっとショックで…」

(;@Д@)「…言ったでしょ?」

ありがたい話に心から嬉しかった。

でも2人には悪いけど私は誘いを断って次の国へ向かおうと思う。
みんなと楽しく暮らしたいが、そうするには少し私は汚れてるから。


2009/05/22

09_05_22

迂闊

2009/05/23

迂闊

昨日、街を目前にし、浮き足立っていた私たちをヒノキの猛獣イチコロセが襲った。
私はアズサさんを救うので精一杯だった。

轟音の中、キロクは馬車もろともイチコロセに連れさられた。
自分の力のなさに、これほど憤りを覚えたのは2度目だった。

イチコロセは獲物を捕まえると巣に持ち帰る。
だから…と話し終えるより前に、アズサさんに巣を探して下さいと懇願される。

もちろんそのつもりです。
きっと大丈夫。
ヤマトのサクラを見た人は生涯一緒にいられるのだから。
きっと大丈夫。

グワへの道を外れ、カキツバタの鼻を頼りにイチコロセの巣へ向かう。
己の未熟さのせいで帽子と親友をなくした私はばかだ。

イチコロセの巣を発見

2009/05/25

イチコロセの巣を発見

後触角を伸ばしながら巣の周りを飛んでいるイチコロセに用心し、巣に向かう機会をうかがう。
水が得られない状況にキロクがいると考えるとタイムリミットはもう長くはない。
それまでにはなんとしても間に合わせたい。

アズサさんはここ数日ろくに御飯を食べていない。
衰弱しているのが目に見えて分かる。
イチコロセが巣を離れ次第すぐに捜索に向かいたいと思う反面、アズサさんが心配だ。
カキツバタにまかせておけば大丈夫だと思うが、1人にしておくのも気が引ける。

国を出てから気が緩んでいた。
軍にいた頃の私ならこんな事態は招かなかったはずだ。

自分が情けない。
今はキロクの精神力と運を信じるしかない。

まぶたにヤマトのサクラがちらついた。

真実

2009/05/27

真実

昨日はイチコロセがいなくなったので、巣に向かってみた。

見つけたかったものがそこにはなくて、

見つけたくなかったものがそこにはあって、

ただ、まっしろが、いっぱいで、かなしかった。


それからアズサさんのもとに戻り、そのことを伝えた。

アズサさんは、私の話を黙って最後まで聞いた。



それからは大変だった。



嗚咽でも叫びでも無い、声ともつかない声で、

彼女は吠えて、あたりちらし、ないて、泣いた。



今ようやく眠ってはくれたが、

これからのことを考えると気が気ではない。



私は 私は彼女を慰めることも

なだめることも 救ってあげることも できなくて

ただ ただ






自分の無能さに吐き気がする。

ふぃおなへ

2009/05/28

いままでいろいろありがとね

かきおきするものがないから これかります

つかいかたおそわといてよかた とおもたけど ちいさい つ のだしかたも おそわとけばよかた

しぱい しぱい

きのうは ふいおな いしようけんめい はなしてくれたのに ひどいこといてごめんなさい

ふいおなはわくるない ありがとう ていわなきやだめなのに ゆるしてください


あれからいろいろかんがえたけど わたし きろくといしよに やまとのさくら みてちかたので

きろくといます

あいつ むかしから さみしんぼうだから わたしがいないとだめなんだ


かお みるとつらいので よるのうちにこそりと おわかれするわ

ぼうしはあげるから つかてやてください

あと くににつれていけなくてごめんなさい

ひどいこといてごめんなさい

いままでありがとね



ありがとう

ふぃおなへ

朝食

2009/05/31

朝食

今日の朝食は、薫製肉を大きめに切ったものに最後の卵をのせ、
ハムエッグにしてバケットにのせたもの。
それとブルーアスパラガスの缶詰をあけて、
それにビーンズとウインナー混ぜて炒めた簡易野菜炒めと、チョコレートレーション。
これはレーションの中で唯一美味しく食べれるものなので、なかなかに貴重だ。
後はシートスープコンソメ味と、ヨーグルト。
ヨーグルトにはアジモモのジャムをたっぷり入れてあまあまに。
まだ食い足りなかったので薫製肉の残りを丸ごと焼いて食べた。
食後には砂糖多めに入れたインスタントココア。

今月は少し疲れた。
モバイルで日記をつけ始め、ヤマトの遺跡を見て、サクラを見て、友達ができて、遊んで、笑って、泣いて、


そしていなくなった。


自分の甘さに腹が立つのを通り越して、呆れた。
もう少し昔の自分を思い出さなくては。
あんなにも嫌っていた自分をましに思うなんて。ばかだ私は。

これからはまた元のルートに戻り、商業都市グワに向かおうと思う。
風もだいぶ暖かくなってきて、初夏を感じる。

巣から飛び出してきたイチコロセの後触角は


伸びてはいなかった。